猫の消化器型リンパ腫の外科手術

 猫の消化器型リンパ腫で消化管全層に対して外科手術を行った後の周術期合併症についての報告によると、すべての症例で、腸管の生検または吻合部位からの術後の腸内容の漏出はみられず、腸管の裂開のリスクは高いとはいえないとのことでした。
 リンパ腫を含む腸管にみられる腫瘍の場合、治療として腸切除を行うとこがありますが、見ただけでは腫瘍がどこまで浸潤しているか判断できないことも多く、また腫瘍を含んだ組織部分で縫合すると、裂開の危険性があります。
 猫の消化器型リンパ腫は、高齢の猫でみられることが多く、消化管が肥厚し腫瘤を形成するものや、びまん性(広範囲に広がっている状態)肥厚がみられる場合もあり、症状も非特異的で、慢性の嘔吐や下痢、体重減少、食欲低下などです。グレードやタイプにもよりますが、積極的に外科的切除を行うことも治療の選択肢に考えられそうです。

参考文献
Veterinary Surgery
Volume 40, Issue 7, pages 849-852, October 2011