犬における血漿中のNT-proBNP濃度

 心疾患をもっているまたはもっていない犬における血漿中のNT-proBNP(N-terminal pro-B-type natriuretic peptide)濃度の評価についての報告によると、900 pmol/L が犬の血漿中NT-proBNP濃度の基準値の上限であるとのことでした。

 NT-proBNPとは、心臓から分泌されるホルモンであるBNPが、血液中に放出されBNPとNT-proBNPに分解されることにより出現します。心不全などによって心筋細胞に障害が起きると、NT-proBNPがより多く血液中に現れるため、心不全の重症度に応じて血液中の濃度が上昇します。また、NT-proBNPはBNPより血液中に長く存在するため測定に適しています。

 心臓の検査といえば聴診、心電図、X線、超音波などがありますが、NT-proBNP濃度の測定は、無症状でも現在心疾患があるかないかを識別する場合や、心疾患の重症度の診断に役立ちそうです。ただ、まれに心疾患とは関係なくNT-proBNP濃度が高値となることもあるようです。また、猫においても基準値は異なりますが、NT-proBNP濃度測定は有効とされています。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

January 15, 2012, Vol. 240, No. 2, Pages 171-180