移行上皮癌の犬におけるビンブラスチンの効果

 膀胱の移行上皮癌の犬におけるビンブラスチンの臨床試験についての報告によると、36%の症例で部分的に改善がみられ、50%の症例で腫瘍の進行停止がみられ、14%の症例で腫瘍の進行がみられ、治療を開始してからの生存期間の中央値は147日だったとのことで、ビンブラスチンは犬の移行上皮癌に対する抗腫瘍活性を有するとのことでした。

 膀胱の腫瘍は、犬にみられる腫瘍全体からみれば割合は少ないのですが、移行上皮癌は膀胱の腫瘍で最も多くみられ、ほとんどが悪性です。老齢の犬で、また雄犬より雌犬によくみられるとされています。臨床徴候としては血尿、頻尿、排尿困難などで、炎症や結石などの他の尿路疾患と変わりがありません。治療としては外科的切除が第1選択となりますが、完全な切除は困難なことが多く、抗癌剤にもあまり反応しないとされています。

 ビンブラスチンは抗癌剤の一種で、完全に治癒させるのは無理ですが、ある程度の改善の反応はみられるようです。また、除草剤への暴露が移行上皮癌の発生リスクを増加させるといわれているので、除草剤の散布された場所への立ち入りは控えたほうがよいでしょう。

 

参考文献

Journal of Veterinary Internal Medicine

Volume 25, Issue 6, pages 1385-1390, November-December 2011