猫の慢性腎不全の進行における臨床病理学的因子

 猫の慢性腎不全における高窒素血症(高BUN、高クレアチニン)の進行を予測する様々な臨床病理学的因子についての報告によると、蛋白尿、貧血、高リン血症はより進行性の腎不全であることを示し、それぞれ尿細管の蛋白負荷、低酸素症、腎石灰化の進行の因子となり得るとのことでした。

 慢性腎不全は高齢の猫で一般的にみられます。腎不全の場合、血液検査では高窒素血症が認められますが、腎機能の約75%が機能不全にならないと高窒素血症にならないともいわれています。症状としては特異的な特徴はなく、元気消失、食欲不振、多飲多尿などがみられます。

 その一方で、高窒素血症がみられても、比較的元気な状態を保てる個体もなかにはいます。今回の報告では213頭の慢性腎不全の猫を調査したそうですが、蛋白尿、貧血、高リン血症がみられる場合は腎不全の進行がはやいといえそうです。

 

参考文献

Journal of Veterinary Internal Medicine

Volume 26, Issue 2, pages 275-281, March-April 2012