犬の甲状腺機能低下症の生殖におよぼす影響

 雌犬の実験的に誘発させた甲状腺機能低下症の生殖におよぼす影響の報告によると、甲状腺機能低下症は仔犬の周産期死亡率の上昇と出生時の低体重の原因となるそうですが、これは可逆性で、甲状腺機能低下症の治療をおこなえば問題ないとのことでした。

 甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの欠乏が起こる病気で、中型~大型犬に多くみられ、ゴールデン・レトリーバー、ドーベルマン・ピンシャー、アイリッシュ・セッター、ボクサー、ミニチュア・シュナウザー、ダックスフンド、コッカー・スパニエルで好発するとされています。猫では非常に稀です。症状も様々で、元気消沈、不活溌、体重増加、脱毛などが比較的よくみられます。

 血液検査で甲状腺ホルモンの濃度を測定することで診断されますが、多くの要因が甲状腺ホルモンに影響を及ぼすことがあり、はっきり診断できない場合もあります。治療は、甲状腺ホルモンの経口投与によりよくなることがほとんどです。

 

参考文献

Journal of Veterinary Internal Medicine

Volume 26, Issue 2, pages 326-333, March-April 2012