熱損失の麻酔回路の種類による影響

 卵巣子宮摘出術における吸入麻酔時の猫の熱損失の麻酔回路の種類による影響の報告によると、再呼吸回路と非再呼吸回路とでは、麻酔中の体温の差はみられず、どちらの麻酔回路であれ手術時間が体温に影響をあたえたとのことでした。

 麻酔回路には大きく分けて2つあり、再呼吸回路は大きい動物に、非再呼吸回路は小さい動物に向いているとされています。また麻酔中は体温が低下することが多く、それにより心拍数の低下、血圧の低下、代謝率の低下による麻酔必要量の変化がみられ、麻酔によるリスクが増加します。

 犬や猫は、ちょっとした処置でも全身麻酔が必要となるケースがよくあります。近年は比較的安全に麻酔処置を行えるようになってきていますが、やはり100%安全というわけではありません。麻酔処置前は考えられる危険因子は排除し、なるべく時間を短くするのがベストと言えるでしょう。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

June 1, 2012, Vol. 240, No. 11, Pages 1296-1299