免疫介在性溶血性貧血、特発性血栓症および副腎皮質機能亢進症の犬における抗リン脂質抗体についての報告によると、いずれの疾患も血栓症の発症における抗リン脂質抗体の存在は強い役割を果たしていないとのことでした。
人では抗リン脂質抗体の存在は血栓症の原因とされ、抗リン脂質抗体症候群という自己免疫病のひとつとされています。健康な犬では抗リン脂質抗体の存在は一般的ではありませんが、今回の報告では抗リン脂質抗体の存在は血栓症のリスク増加の要因とはならなかったそうです。
犬の免疫介在性溶血性貧血などの疾患における血栓形成の病態生理はよくわかっていませんが、抗リン脂質抗体はあまり関係がないようです。
参考文献
Journal of Veterinary Internal Medicine
Volume 26, Issue 3, pages 614–623, May-June 2012