犬の肥満細胞腫の治療におけるパクリタキセルの有効性と安全性

 犬の切除不能なグレード2または3の肥満細胞腫の治療におけるパクリタキセルの有効性と安全性につての無作為試験の報告によると、ロムスチンよりも働きや安全性が優れているとのことでした。

 肥満細胞腫は体のほとんどの部位に発生する可能性がありますが、犬では皮膚に発生することが多く、犬の皮膚腫瘍の中の5分の1を占めるともいわれています。治療としては外科的切除、化学療法、放射線療法などがあります。パクリタキセルやロムスチンといった抗癌剤を使用する化学療法は、全身播種、外科的に切除不可能または不完全切除、放射線療法が不可能な場合に実施されます。なかでも新しい治療として分子標的薬がありますが、適応になるc-kit遺伝子に変異がみられる症例は全体の25~30%といわれていますので、まだc-kit遺伝子に依存しない抗癌剤が必要とされています。今回の結果ではロムスチンよりパクリタキセルの方が奏効率が良かったとのことなので、今後治療の選択肢が増えるかもしれません。

 

参考文献

Journal of Veterinary Internal Medicine

Volume 26, Issue 3, pages 598–607, May-June 2012