犬の胃拡張-胃捻転症候群における予後マーカー

 犬の胃拡張-胃捻転症候群における予後マーカーとしての血清犬ペプシノーゲン-A、犬膵リパーゼおよびC反応性蛋白についての報告によると、術前の犬ペプシノーゲン-Aは胃壁病変の重症度と関連があったが、予後マーカーとしては中程度であり、犬膵リパーゼ免疫反応物質とC反応性蛋白は一般に増加がみられたとのことでした。

 ペプシノーゲンは胃の主細胞から分泌される酵素前駆体で、ヒトではその血清中濃度は胃粘膜の形態的および機能的状態を反映しているとされ、胃がん検診などに使われています。犬でも胃拡張-胃捻転症候群の様に胃粘膜の細胞が損傷されるような状態ではペプシノーゲンの増加がみられる様ですが、それが予後良好か不良かの判定材料にするには弱いようです。

 犬膵リパーゼは、膵炎の指標になるとされており、リパーゼ自体は膵臓疾患以外の要因でも影響を受けるのですが、膵臓由来のリパーゼのみを測定することで膵炎に対して高い感度および特異性があるとされています。C反応性蛋白は、さまざまな炎症で非特異的に血中に現れる蛋白質で、炎症の由来を特定することはできませんが炎症マーカーとして利用されています。

 

参考文献

Journal of Veterinary Internal Medicine

Volume 26, Issue 4, pages 920–928, July-August 2012