先天性および後天性門脈体循環シャント

 若い犬における先天性と後天性門脈体循環シャントの臨床および臨床病理学的異常の報告によると、先天性か後天性かを症状や臨床病理学的所見だけで区別するのは困難だが、後天性の場合のほうが腹水がみられることが多いとのことでした。

 門脈体循環シャントは、肝臓へと続く門脈と、全身の静脈の間をつなぐバイパス血管が存在する疾患で、本来は肝臓で解毒される腸管由来毒素が十分解毒されないまま体循環に流れ込み、それにより高アンモニア血症や肝性脳症がひきおこされ、突発的な虚弱、運動失調、間歇性食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少、成長不良などの臨床徴候がみられます。

 先天性の場合は先天的な血管の奇形によるもので、外科手術で改善されることが多いのですが、後天性の場合は慢性肝疾患が原因であることが多く、外科的治療はせずに内科的治療を行うことが多く、それぞれの病態に応じた治療が必要とされます。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

September 15, 2012, Vol. 241, No. 6, Pages 760-765