犬の催吐

 犬の催吐を目的としたアポモルヒネと3%過酸化水素溶液の使用の効果と副作用についての報告によると、どちらも効果的に嘔吐を誘発し、副作用は軽度で自己限定的だったとのことでした。アポモルヒネと3%過酸化水素溶液が嘔吐を誘発させた割合はそれぞれ94%と90%で、嘔吐するまでの平均時間は18.6分と14.5分で、平均持続時間は27分と42分とのことでした。

 口から入った有害物質による中毒症状は、主にその有毒成分が消化管から吸収されることで異常が発現します。摂取した有害物質がまだ胃に残っている場合、嘔吐を促すこと、つまり催吐は毒素の吸収を防ぐ処置としと良い方法です。しかし、口腔粘膜を刺激するような腐食性の毒物や、昏睡状態などで誤嚥の可能性がある場合は催吐処置は控えたほうがよいとされています。

 ちなみに、アポモルヒネは古くからある薬ですが、最近では人でパーキンソン病の治療薬の一つとして使用されているようです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

November 1, 2012, Vol. 241, No. 9, Pages 1179-1184