犬と猫の尿結石の組成についてホルマリンで保存した場合の影響

 犬と猫の尿結石の組成についてホルマリンで保存した場合の影響についての報告によると、ミネラル組成分の誤診を避けるため、尿結石は分析前にホルマリンに浸透させるべきではないとのことでした。

 尿石症は犬や猫でときどきみられます。結石は成分によって様々な種類があり、成分によって特徴的な外観もありますが、複数の成分が混合して結石になることもあり、正確な成分の同定には結石の定量分析検査が必要です。またホルマリンは組織検査での固定操作としてよく用いられます。組織をホルマリン液に漬けることにより、生体内では流動状であった物質が固形化し安定した状態に変化するため、生体内に近い状態で組織や細胞を観察することが可能になります。

 しかし、ホルマリンに浸された後のストルバイト結石の一部は、ニューベリーアイトという鉱物へ形質転換がみられ、尿酸アンモニウム結石は溶解することがあるそうです。通常結石の定量分析検査の場合、結石を蒸留水で洗浄後、十分乾燥させることが推奨されています。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

December 15, 2012, Vol. 241, No. 12, Pages 1613-1616