ラブラドールレトリバーの肝臓の銅および亜鉛濃度と食事中に含まれる銅および亜鉛の関連

 ラブラドールレトリバーの肝臓の銅および亜鉛濃度と食事中に含まれる銅および亜鉛の関連についての報告によると、市販のドライのドックフードに含まれる銅と亜鉛の濃度は、遺伝的な銅蓄積性肝障害をもつラブラドールレトリバーにとって危険因子になるとのことでした。

 銅蓄積性肝障害は、肝臓における銅の異常な蓄積によって肝炎や肝硬変となる疾患です。とくにベドリントン・テリアでの発生が著しく高く、遺伝的に胆汁中へ銅を排泄できないためとされており、羅患率は25%、50%はキャリアともいわれています。また発生機序は異なるとされていますが、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ドーベルマン・ピンシャー、ダルメシアン、ラブラドール・レトリバーなどはこの疾患の好発犬種とされ、遺伝性が強く疑われています。

 今回の報告では、高銅および低亜鉛の食事は高い肝臓の銅濃度と有意に関連していたが、食事の摂取量との関連はみられなかったそうです。また亜鉛には抗酸化作用、肝臓内の銅貯蔵の減少作用、抗線維性の性質などがあるため慢性肝炎などの場合、食事に亜鉛の添加が有益であるとされています。

 

参考文献

Journal of Veterinary Internal Medicine

Volume 26, Issue 6, pages 1274–1280, November/December 2012