慢性肝炎とラブラドールレトリバーの肝臓の銅濃度

 慢性肝炎をもっているまたはもっていないラブラドールレトリバーの肝臓の銅濃度についての報告によると、肝臓の銅濃度は健常犬に比べて慢性肝炎の犬のほうが有意に高く、さらに年代とともにかなり増加しており、原因として環境中の銅への暴露の増加、特に食事によるもが考えられるとのことでした。

 今回の報告では、2つの研究期間(1980~1997年と1998~2010年)に得られた肝臓の組織標本をそれぞれ定性的にロダニン染色によって、定量的に原子吸光分析法によって銅濃度を測定したそうです。それによると1980~1997年の間に得られた肝臓の組織標本に比べ、1998~2010年の間に得られた方が肝臓の銅濃度が高いものの割合が多かったそうです。

 銅は肝臓で貯蔵される微量元素の一つで、生体内にはごく微量しか存在しないのですが、非常に多くの代謝反応に関与しており、皮膚および被毛の色、ヘモグロビンの合成などに関係しています。しかし高濃度になると肝毒性となります。一度肝臓に銅の蓄積がが起こると、銅含有量の低い食事を与えても肝臓の細胞から銅を取り除くことはできませんが、銅がさらに蓄積されるのを遅くすることはできます。またレバー、魚介類、内臓肉などは銅含有量が多いとされています。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

February 1, 2013, Vol. 242, No. 3, Pages 372-380