猫の呼吸困難と椎骨心臓計測(vertebral heart scale [VHS] )の使用

 猫に呼吸困難がみられる場合の、心疾患と心疾患以外の原因を区別するための椎骨心臓計測(vertebral heart scale [VHS] )の使用についての報告によると、VHSが9.3以上の場合心疾患の存在が特異的にみられたとのことでした。

 VHSとは、心臓の拡大の程度を評価する方法で、胸部X線写真のラテラル像において、心臓の長軸と短軸の長さが第4胸椎頭側端を起点として椎体いくつ分に相当するかを小数点第一位まで測定し、得られたそれぞれの数値の合計がVHS値となります。VHSは心疾患の場合必ず上昇するものではありませんが、経時的に観察することで心拡大の進行を客観的に判断することができます。猫ではVHSが8.0を超えた場合心拡大が疑われるとされています。

 今回の報告によると呼吸困難がみられ、VHSが9.3を超えている場合は心疾患が存在する場合が多く、特に超音波検査ができない場合、原因が心疾患によるものかそれ以外のものなのかを区別するのに有用な方法であるとのことでした。しかしVHSが8.0から9.3の場合はそれが心疾患によるものか呼吸器疾患によるものかははっきり判断することはできず、超音波検査がさらに診断を進めるのに有用であるとのことでした。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

February 1, 2013, Vol. 242, No. 3, Pages 366-371