避妊した雌犬における尿失禁の有病率

 避妊した雌犬における尿失禁の有病率の評価についての報告によると、尿失禁の有病率は5.12%で、卵巣子宮摘出時の年齢に有意差は認められず、15kg以上の雌犬で有病率が高く、15kg以下の雌犬に比べて約7倍尿失禁になりやすいとのことでした。

 避妊した雌犬にみられる失禁はホルモン応答性尿失禁であることが多く、性ホルモンが正常な尿道筋の緊張と粘膜の維持に関係していると考えられています。症状としては通常は正常で随意的に排尿しますが、休息あるいは睡眠時の不随意的尿滴下がみられます。尿失禁は避妊された雌犬の20%以上でみられるとされる文献もありますが、今回の報告では有病率は低かったとのことでした。

 ホルモン応答性尿失禁は去勢された雄犬にも発現することがありますが、去勢や避妊された猫ではほとんどないとされています。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

April 1, 2013, Vol. 242, No. 7, Pages 959-962