メタアルデヒドとリン酸鉄に暴露された動物と鉄中毒が疑われた犬の特徴

 メタアルデヒドとリン酸鉄に暴露された動物と鉄中毒が疑われた犬の特徴についての報告によると、メタアルデヒドの暴露により死亡した例はあるがリン酸鉄によって死亡した例はなく、しかしどちらも暴露直後に症状がなくても注意が必要とのことでした。

 メタアルデヒドやリン酸鉄は、ナメクジ駆除剤などに含まれている成分で、どちらも犬にとって中毒を起こす可能性があります。メタアルデヒドは腸管より吸収され、症状としては痙攣などの神経症状が特徴です。また痙攣がおちついてもその後肝障害が生じることもあります。犬における最低致死投与量は100mg/kgとされており、これは犬が容易に摂取できる量です。

 金属鉄や酸化鉄(さび)は中毒に関与しませんが、犬はサプリメントや薬剤に含まれる鉄塩の過剰摂取によって中毒を起こします。摂取された鉄は胃と小腸の粘膜に対して直接的な腐食作用を引き起こし、重度の壊死や腹膜炎を生じることがあります。また過剰に吸収された鉄は血漿中を循環し組織へと供給され、直接的な細胞性障害の原因となります。鉄中毒の致死量は鉄元素として200mg/kg以上とされています。また、一般的に中毒時の治療として活性炭がよく使われますが、活性炭は鉄と結合せず、鉄中毒の場合は効果は期待できないとされています。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

May 1, 2013, Vol. 242, No. 9, Pages 1244-1248