太りすぎの犬の前十字靱帯断裂の外科的または非外科的治療の結果

 太りすぎの犬の前十字靱帯断裂の外科的または非外科的治療の結果の報告によると、外科的治療を行ったほうがよい治療結果が得られたが、非外科的治療を行った犬の約3分の2は治療後52週時には改善がみられたとのことでした。

 40頭の片側性の前十字靱帯断裂の犬で評価され、非外科的治療は理学療法、体重の減量、非ステロイド性抗炎症剤の投与を行い、外科的治療はTPLO(tibial plateau leveling osteotomy)を行い、その後非外科的治療と同様の治療を行ったそうです。

 前十字靭帯は、大腿骨に対する脛骨の内転および前方への変位を制限し、膝関節を安定させる機能があります。前十字靭帯が断裂した場合、膝関節が不安定となり体重を全く負重できないなどの症状がみられますが、靱帯が部分断裂した場合や慢性経過を伴う場合は、立ち上がったり座ったりするのが困難になったり、患肢を体の外へ投げ出して座るなどのあまり特異的でない症状しかみられない場合もあります。

 断裂の原因としては靱帯の変性、外傷などがあり、靱帯の変性の原因としては加齢、構造異常、免疫介在性関節炎などが考えられます。そして靭帯に変性がある場合は、通常の運動の繰り返しも靭帯断裂の原因になることがあります。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

May 15, 2013, Vol. 242, No. 10, Pages 1364-1372