犬における尺骨の骨肉腫

 犬における尺骨の骨肉腫についての報告によると、尺骨の骨肉腫は長期の予後は不良ですが他の四肢にできる骨肉腫よりも予後が良く、部分的な尺骨切除は合併症が少なく運動機能も良好で生存期間に悪影響はないとのことでした。しかし組織学的サブタイプとして、末梢血管拡張性または末梢血管拡張混合性骨肉腫は負の予後因子であるとのことでした。

 骨肉腫は犬の骨腫瘍のなかでもっとも多く、大型犬の四肢骨格に多くみられる悪性腫瘍で、体重や体高が大きくなるほど骨肉腫の発症リスクが増加するといわれています。また肺への転移もよくみられます。

 治療としては断脚を行うことがあります。しかし外科療法はあくまで緩和的で、化学療法も行ったほうがよいとされており、外科療法のみの生存期間の中央値は約4ヵ月、外科療法と化学療法を併用した場合は約10ヵ月とされています。今回みられた尺骨の骨肉腫の生存期間の中央値は463日だったそうですが、組織学的サブタイプとして末梢血管拡張性または末梢血管拡張混合性骨肉腫の場合は208日だったそうです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

July 1, 2013, Vol. 243, No. 1, Pages 96-101