犬の扁桃以外の口腔内扁平上皮癌の生存に関連する危険因子

 犬の扁桃以外の口腔内扁平上皮癌の生存に関連する危険因子についての報告によると、腫瘍部位の外科的切除後の予後は良好で、1年後の生存率は外科的治療を行った場合は93.5%でしたが、行わなかった場合は0%だったそうです。また、腫瘍関連の炎症が増加すると死亡するリスクも高くなるとのことでした。
 犬の口腔内の扁平上皮癌は口腔悪性腫瘍の中では2番目に多くみられます。通常高齢犬の歯肉、とくに上顎の吻側に発生しますが、舌や扁桃にみられることもあります。そして発生部位により異なった挙動がみられます。
 歯肉の扁平上皮癌は転移率は比較的低く、外科手術や放射線療法の対象となることが多いです。しかし扁桃の扁平上皮癌は歯肉や舌にみられるものに比べて攻撃性が強く、また転移率も高く、転移によりリンパ節が腫大し頚部が腫れ初めて気がつく場合もあり、外科手術に加えて放射線療法や化学療法を併用してもコントロールが困難とされています。
 
参考文献
Journal of the American Veterinary Medical Association
September 1, 2013, Vol. 243, No. 5, Pages 696-702