膵炎の猫における猫膵リパーゼ免疫活性(feline pancreatic lipase immunoreactivity, fPLI)濃度と予後について

 33匹の膵炎の猫における猫膵リパーゼ免疫活性(feline pancreatic lipase immunoreactivity, fPLI)濃度と予後についての報告によると、入院時にみられる呼吸困難、高カリウム血症および血清fPLI濃度が重要な予後因子であるとのことでした。

 膵炎は膵臓の急性あるいは慢性の炎症で、トリプシンなどの消化酵素が前段階の状態で膵臓内で活性化し、膵臓組織が進行性に自己融解を引き起こします。またほとんどの膵炎では病因を確認するのは困難で、発症過程は十分に明らかにされていません。臨床徴候も多様で、無気力、食欲不振および体重減少などの非特異的なものであったり、嘔吐や腹痛がみられない場合も多くあります。臨床検査所見も正常か、非特異的であったりします。

 リパーゼ濃度は以前から膵臓の炎症の指標とされていましたが、膵臓以外の部位にも由来し、膵臓疾患以外でも上昇がみられたり、また猫の膵炎ではわずかな上昇かもしくは全く上昇がみられなかったりするので有用ではありませんでした。しかしfPLI検査は膵炎に対して信頼性が高い診断的試験であり、また現在よくつかわれているSpec fPL(猫膵特異的リパーゼ)検査ときわめてよく相関があるとされています。


参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

December 15, 2013, Vol. 243, No. 12, Pages 1713-1718