犬の副手根骨の特発性虚血性壊死

 犬の副手根骨の特発性虚血性壊死についての報告によると、レントゲン検査や組織学的所見は犬の大腿骨頭の虚血性壊死や人の虚血性手根骨壊死と類似しているが、病因は不明で、今回の症例が副手根骨の特発性虚血性壊死の初めての報告であるとのことでした。

 今回の症例は6歳の避妊雌の雑種の犬で、6週間の左前肢の跛行がみられたそうです。レントゲン検査では副手根骨の膨張と溶解がみられ、コア生検では骨壊死と診断され、副手根骨切除後の組織検査では特発性虚血性壊死と診断されたそうです。そして副手根骨の切除と手根関節の全固定術により良好な経過がみられ、治療の4年後死亡するまで、手根関節に関連する問題はみられなかったそうです。

 大腿骨頭の虚血性壊死はレッグ・ペルテス病とよばれ、若齢の小型犬にみられます。副手根骨は尺側手根骨の後面にある棒状の骨ですが、レッグ・ペルテス病と同様の病態がみられることがあるようです。


参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

December 15, 2013, Vol. 243, No. 12, Pages 1746-1750