黄疸の犬の総蛋白質量の屈折計による測定

 黄疸の犬の総蛋白質量の屈折計による測定についての報告によると、高ビリルビン血症は屈折計による血清総蛋白質濃度の定量を妨げなかったとのことでした。

 黄疸とは、血清ビリルビン濃度が増加している状態をいいます。ビリルビンは赤血球に含まれるヘモグロビンという成分の分解代謝物で、通常は肝臓へ運ばれ胆汁の成分として胆管内に分泌され、便の中や尿中へ排泄されます。またビリルビンは黄色い色素をしており、尿や便の黄褐色はビリルビンに由来しますが、何らかの原因でビリルビンが排出されなくなると血液中に蓄積され、皮膚や白目が黄色くなってきます。黄疸の原因としては溶血による溶血性黄疸、肝細胞の障害による肝性黄疸、胆汁の流れが障害される肝後性黄疸があります。

 屈折計とは、光に対する物質の屈折率を測定する器械で、測定しようとする物質を屈折率のわかっている物質でつくったプリズムに接触させて、その境界面で起こる反射を利用して測定します。血液では、蛋白質量にしたがって光の屈折が生じ、蛋白質量が多ければ光の屈折量は多くなります。通常血清は透明ですが、黄疸になると黄色くなります。しかし屈折計による蛋白質測定には影響ないようです。


参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

January 1, 2014, Vol. 244, No. 1, Pages 63-67