原発性および続発性の肝銅蓄積と推定される猫

 原発性および続発性の肝銅蓄積と推定される猫についての報告によると、銅が原発性や続発性に猫の肝臓に蓄積することが示唆され、その長期管理は可能であったとのことでした。

 今回は、1980年から2013年の間に肝生検と肝銅濃度の測定によって確認された、肝胆道疾患をもつ100匹の猫(原発性銅関連性肝障害と推定される11匹、肝外胆管閉塞14匹、胆管炎、胆管肝炎37匹、その他の肝胆道疾患38匹)と肝胆道疾患のない14匹の猫について、後ろ向き横断研究を行ったそうです。それによると、原発性銅関連性肝障害の猫は一般的に若く(中央値2.0歳)、臨床病理学的特徴は他の肝疾患の猫と同様だったそうです。また肝臓サンプルの銅染色および銅の定量(>700マイクログラム/グラム乾燥重量を基準として)により原発性銅関連性肝障害が確認されたそうです。そして6匹の猫はキレート剤(ペニシラミン)、抗酸化剤、低用量の亜鉛、肝臓療法食および高タンパク低炭水化物の食事などによる治療が奏功したそうです。しかし1匹の猫がペニシラミンの投与により溶血性貧血を呈し(投与の中止により回復)、3匹の肝銅濃度の高い猫は肝細胞腫瘍形成へ発展したそうです。

 肝臓における銅の蓄積は肝の損傷に関連し、肝炎や肝硬変を起こします。銅関連性肝障害は、犬ではベトリントン・テリアの胆管銅排泄における遺伝的な代謝欠損で起こることが知られていますが、猫での報告はほとんどありません。


参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

January 1, 2014, Vol. 244, No. 1, Pages 68-77