輸血を受けた犬における急性肺障害の発生率

  輸血を受けた犬における急性肺障害の発生率についての報告によると、以前報告されていた輸血を受けたことがない病気の犬における急性呼吸窮迫症候群と同じ頻度で急性肺障害がみられたとのことでした。

 急性呼吸窮迫症候群は重篤な呼吸困難を示す非心原性透過型肺水腫のひとつで、その軽症型は急性肺障害と呼ばれ、これらはび漫性の炎症性肺障害によって肺胞-毛細血管の組織間の透過性が増加することにより起こります。炎症性障害は肺炎や肺挫傷などの原発性の肺疾患が誘因となりますが、肺疾患以外の敗血症や膵炎などによる全身性の炎症反応によって、好中球や炎症性サイトカインが活性化され起こることもあり、輸血もその危険因子の一つとされています。

 今回の報告では54頭の犬について前向き観察研究が行われたそうですが、急性肺障害の発生率は3.7%で、以前に報告された急性呼吸窮迫症候群の発生率の10%と比較して有意差はなかったそうです。しかし人における輸血関連急性肺障害の発生率(25%)と比較した場合、その発生率は低かったとのことでした。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

January 15, 2014, Vol. 244, No. 2, Pages 170-174