犬と猫における孤立性の眼内または結膜のリンパ腫

 犬と猫における孤立性の眼内または結膜のリンパ腫についての報告によると、孤立性の眼のリンパ腫はまれで、ブドウ膜炎や結膜炎との鑑別診断を考慮するべきで、MRI検査、脳脊髄液や周辺リンパ節の細胞検査は有益とされ、予後は結膜リンパ腫の方が眼内リンパ腫よりよさそうだったとのことでした。

 今回は7例の犬と2例の猫の孤立性の眼のリンパ腫について過去の診療記録を再検討したそうです。そのうち眼内リンパ腫(犬4例、猫1例)と結膜リンパ腫(犬3例、猫1例)はリンパ腫と診断された全症例のそれぞれ0.1%と0.08%だったそうです。また眼内リンパ腫はブドウ膜炎がみられた全症例の0.19%、結膜リンパ腫は結膜炎のみられた全症例の0.16%だったそうです。そしてすべての眼内リンパ腫の犬で神経症状がみられ、リンパ節への転移は結膜リンパ腫の2例でみられたそうです。生存期間の中央値は眼のリンパ腫全体としては178日でしたが、結膜リンパ腫の無増悪生存期間は221日、生存期間は549日だったそうです。

 犬の眼に発生する腫瘍で最も多くみられるのはメラノーマで、前部ブドウ膜で発生することが多く、高齢犬で発生しますが若齢犬にみられる場合もあります。原発性もしくは孤立性に眼にリンパ腫が発生するのは非常にまれなようですが、続発性または転移性にみられる眼の腫瘍はリンパ腫が多いとする研究もあります。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

February 15, 2014, Vol. 244, No. 4, Pages 460-470