血液ドナー犬の繰り返しの献血による鉄と血液学的変化への影響

 血液ドナー犬の繰り返しの献血による鉄と血液学的変化への影響についての報告によると、献血後すべての血液ドナー犬で骨髄の再生反応が誘発され、10日以内に減少した血球の回復がみられたそうですが、全血液量の13%を2か月毎に献血した犬のグループでは貯蔵鉄の有意な減少がみられたとのことでした。

 犬でも急性の失血や溶血がみられた場合、治療として輸血を行うことがあります。犬にもABO式ではありませんが血液型は存在し、赤血球表面に存在する抗原によって分類されます。また犬では他の赤血球型に対する自然抗体を持たないとされていますが、輸血前にはクロスマッチ試験を行うことが推奨されています。

 今回の報告では全血液量の13%を2か月毎に献血、13%を3か月毎に献血、15%を3か月毎に献血の3グループに分けて1年間調べたそうですが、全血液量の13%を2か月毎に献血したグループは他のグループに比べ血清フェリチン濃度の有意な減少がみられたそうです。フェリチンは貯蔵鉄の量を反映して増減し、鉄不足の場合ヘモグロビンや血清鉄よりもフェリチンから減少がみられるため潜在性鉄欠乏性貧血の指標になっています。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

June 1, 2014, Vol. 244, No. 11, Pages 1298-1303