肥大型心筋症およびうっ血性心不全のネコの生存期間におけるピモベンダンの効果

 肥大型心筋症およびうっ血性心不全のネコの生存期間におけるピモベンダンの効果の症例対照研究の報告によると、通常のうっ血性心不全の治療にピモベンダンを加えた方が肥大型心筋症に対して臨床的に有益で、閉塞性肥大型心筋症に対しても有益かもしれないとのことでした。

 肥大型心筋症は左心室自由壁または中隔の異常な肥大が特徴で、左室容積が減少しうっ血性心不全、動脈血栓塞栓症などの合併症がみられることもありますが、無症状の場合も多くみられます。家族性に発症がみられることも多く、メイン・クーンやラグドールなどの猫種では遺伝性があるとされています。また、閉塞性肥大型心筋症は左室流出路が閉塞されるタイプの肥大型心筋症で、全身血圧の低下がみられることがあります。

 今回の報告では、2003年から2013年の間にみられた肥大型心筋症または閉塞性肥大型心筋症でピモベンダンを使用して治療した27例と、使用しないで治療した27例について後ろ向き症例対照研究を行ったそうですが、ピモベンダンを使用しなかった症例の生存期間中央値は103日だったのに対し、ピモベンダンを使用した症例では626日だったそうで、他に有意差の原因となる要因はなかったとのことでした。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

September 1, 2014, Vol. 245, No. 5, Pages 534-539