直腸腫瘤の犬に対する直腸プルスルー手術後の合併症と結果

 直腸腫瘤の犬に対する直腸プルスルー手術後の合併症と結果についての報告によると、直腸疾患のある犬で直腸プルスルー手術を行った場合合併症の発生率は高かったが、局所の腫瘍制御と生存期間は良好だったとのことでした。

 直腸プルスルー手術は、肛門から直腸を反転させ全層切開し、直腸を肛門から引き抜くような形で切除する手術で、腹腔からアプローチできない遠位結腸や直腸中央の病変、肛門アプローチでは大きすぎたり前方すぎたりする病変部の切除が適応となります。しかし手術後に合併症が起こることも多く、テネスムス(しぶり腹)、血便、失禁、狭窄などが起きることがあります。

 今回の報告では74頭の直腸腫瘤のみられる犬について調査したそうですが、78.4%の犬で手術後の合併症がみられ、最も多くみられたのが便失禁で56.8%の犬でみられ、そのうちの54.8%の犬は永久的なものになったそうです。その他の合併症としては下痢、テネスムス、狭窄、直腸出血、便秘、裂開および感染症がみられたそうです。また直腸腫瘍の再発は10頭の犬でみられたそうです。全体の生存期間の中央値は1150日でしたが、悪性腫瘍だった場合は726日だったそうです。最も一般的な直腸腫瘤は直腸癌と非浸潤直腸癌で、生存期間の中央値はそれぞれ696日と1006日だったそうです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

September 15, 2014, Vol. 245, No. 6, Pages 684-695