上顎、下顎および頭蓋冠の骨肉腫の予後と予後因子

 上顎、下顎および頭蓋冠の骨肉腫の予後と予後因子についての報告によると、組織学的に腫瘍のないマージンのある腫瘍切除を行った場合その他の治療を行うよりも生存期間が長かったとのことでした。

 骨肉腫は四肢骨格でみられることが多いですが、体軸骨格でもみられることがあり骨肉腫全体の約20~25%を占めるともいわれています。四肢骨格の骨肉腫と同様に高齢犬が罹患しやすく、体重が重いほどリスクも増加するとされており、好発犬種は特にありませんが雌犬で多く発症するとされています。また下顎骨にみられる骨肉腫は、他の部位でみられるものより転移率が低く、予後が良いことが多いといわれています。

 今回の報告では上顎、下顎および頭蓋冠にみられた骨肉腫の症例の平均年齢は9.3歳で、平均体重は31.8kgだったそうです。そして最も多かった原発部位は上顎で43.7%だったそうです。局所再発または進行は51.3%の犬で、遠隔転移は38.%の犬でみられたそうです。すべての犬の生存期間の中央値は239日で、外科手術を行った場合は329日だったそうです。そして組織学的に腫瘍のないマージンのある外科切除の場合は危険度が著しく減少し、再発と進行のハザード比は0.4で、死亡のハザード比は0.5だったそうです。しかし頭蓋冠の骨肉腫の場合は有意に危険性が高く、局所再発と進行のハザード比は2.0だったそうです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

October 15, 2014, Vol. 245, No. 8, Pages 930-938