ヒドロモルフォン誘発性嘔吐と吐き気を予防するためのマロピタントの投与間隔による有効性

 ヒドロモルフォン誘発性の嘔吐と吐き気を予防するためのマロピタントの投与間隔による有効性についての報告によると、ヒドロモルフォン投与の15分から30分前にマロピタントを投与した場合嘔吐が大幅に減少したが、吐き気の徴候は60分前に投与したときのみ減少したとのことでした。

 ヒドロモルフォンは日本では医薬品として承認されていませんが、海外では長年使用されている麻薬性鎮痛剤で副作用として嘔吐や吐き気がみられることがあります。マロピタントは当初鎮痛消炎を適応症とした人用医薬品を目指して開発されましたが、臨床効果が期待したほどではなかったことから開発中止となったものの、強いNK1受容体拮抗作用があり動物では十分な薬効と安全性があったため改めて開発された制吐剤です。

 今回の報告ではマロピタントを1mg/kg皮下注射した後、0、15、30、45、60分後にヒドロモルフォンをそれぞれ10頭の犬に0.1mg/kg筋肉注射をしたそうです。嘔吐については時間が短くても抑制効果があるようですが吐き気を抑えるには効果がでるまで注射後60分はかかるようです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

November 1, 2014, Vol. 245, No. 9, Pages 1015-1020