蛋白漏出性腸症の犬における血清生化学的マーカーの評価と生存期間

 蛋白漏出性腸症の犬における血清生化学的マーカーの評価と生存期間についての報告によると、C反応性蛋白、犬リパーゼ免疫活性およびα1蛋白分解酵素阻害因子は蛋白漏出性腸症と食事反応性腸症の間で大きく異なるが、生存期間の予測はできなかったとのことでした。

 蛋白漏出性腸症は腸管内への過剰な血漿蛋白の損失によって低蛋白血症を呈する腸疾患で、重度の場合は胸水、腹水、末梢浮腫などがみられます。食事反応性腸症は、低アレルギー食によって寛解がみられる慢性腸症で、下痢、嘔吐などの症状がみられ重度の低蛋白血症がみられることは少ないとされています。

 C反応性蛋白は蛋白漏出性腸症では18頭のうち13頭で、食事反応性腸症では18頭のうち2頭で高値がみられたそうです。犬リパーゼ免疫活性は蛋白漏出性腸症では3頭で高値でしたが、食事反応性腸症ではすべての犬で基準値内だったそうです。α1蛋白分解酵素阻害因子は蛋白漏出性腸症では9頭で、食事反応性腸症では1頭で基準値の下限以下だったそうです。そして蛋白漏出性腸症の生存期間の中央値は67日(範囲は2~2551日)だったそうです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

January 1, 2015, Vol. 246, No. 1, Pages 91-99