低血圧で危篤状態の犬において高乳酸血症があるかないかによる生存率の分析

 低血圧で危篤状態の犬において高乳酸血症があるかないかによる生存率の分析についての報告によると、低血圧で高乳酸血症がない犬の方が高乳酸血症のある犬よりも予後がよく、それは血中乳酸濃度は収縮期血圧に対して負の相関があるためで、血中乳酸濃度は低血圧の犬の予後に有用な測定基準となり得るとのことでした。

 ヒトでは乳酸上昇は予後予測に使用されており、敗血症、ICU患者において乳酸値が上昇するにつれて死亡率が上昇するとされています。乳酸値はショック時にその産生が亢進するだけでなく、肝臓、腎臓からの排泄が低下するためその様な悪い状態の結果上昇します。

 高乳酸血症のない低血圧の犬は高乳酸血症のある犬と比較して有意に高い収縮期血圧を有しており、高乳酸血症のある犬と比較して生存率が3.23倍高かったそうです。また犬の年齢、体重、疾患の重症度、および入院期間についでは有意差は認められなかったそうです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

January 1, 2015, Vol. 246, No. 1, Pages 100-104