犬の先天性肝外門脈体循環シャントにおける尿路結石症の危険因子

 犬の先天性肝外門脈体循環シャントにおける尿路結石症の危険因子についての報告によると、初期評価でのシャント形態は尿路結石症の確率の増加と関連しておらず、オス犬、高齢犬および初期評価前に門脈体循環シャントの治療を受けていた場合尿路結石症のリスクが高くなるとのことでした。

 門脈体循環シャントは肝臓に流入する門脈と全身を循環する静脈血管とが吻合(シャント)する疾患で、門脈血が肝臓を経由することなく体循環に流れ込むため腸管由来毒素が肝臓で十分解毒されない状態となり肝性脳症の臨床徴候がみられます。また尿検査では尿酸アンモニウム結晶尿がみられることがあり、尿酸アンモニウム結晶自体はレントゲン検査ではわからない場合もありますが、マグネシウムやリン酸を含んでいる場合はレントゲン検査で結石として認められる場合があります。

 今回の報告では1999年から2013年の間にみられた95例について調査したそうですが、平均年齢は0.9歳で、28.4%が門脈奇静脈シャントで71.6%が門脈大静脈シャントだったそうです。尿検査は83.2%の犬で行われ、そのうち36.7%で主に尿酸アンモニウム結晶とストルバイト結晶がみられ、尿石は全体の35.8%の犬でみられたそうです。また門脈奇静脈シャントは尿路結石症の確率の増加との関連はみられなかったとのことでした。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

March 1, 2015, Vol. 246, No. 5, Pages 530-536