口内炎の猫における抜歯の効果

 口内炎の猫における抜歯の効果につての報告によると、口内炎領域の抜歯は三分の二以上の猫で大幅な口内炎の改善または完治がみられ、全歯抜歯は部分抜歯以上の効果はみられず、ほとんどの猫で臨床的な改善または完治を達成するには内科的管理が必要とのことでした。

 口内炎はよく認められる疾患ですが、原因はさまざまで物理的損傷、感染、免疫不全、口腔腫瘍などがあり、また原因不明のこともあります。治療はそれぞれの原因に基づいて行いますが、抜歯を行うと良好な反応がみられることがあります。

 今回は95匹の口内炎の猫について調査したそうですが、抜歯後の追跡期間の中央値は231日で、抜歯とその後の内科的治療で6.3%の猫で全く改善がみられず、26.3%の猫でほとんど改善がみられなかったそうです。しかし抜歯後39%の猫でかなりの改善がみられ、28.4%の猫で完治がみられたそうで、改善がみられた猫のうち68.8%は良好な状態を得るために有限期間の内科的治療が必要だったそうです。そして全歯抜歯と部分抜歯とでは治療の反応に関連はなかったそうです。また抜歯後最初の再検査で改善された長期的な反応として異常行動の解決(オッズ比7.2)、口内炎の減少(オッズ比3.5)、抗菌剤が不要になった(オッズ比3.7)とのことでした。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

March 15, 2015, Vol. 246, No. 6, Pages 654-660