犬の肛門嚢アポクリン腺癌の外科的切除時の補助的化学療法

 犬の肛門嚢アポクリン腺癌の外科的切除時に補助的化学療法を併用するかしないかについての報告によると、腰下リンパ節腫脹とリンパ節摘出は負の予後因子で、外科的切除の完全性は生存期間または無病期間と関連はなかったとのことでした。

 肛門嚢の腺癌は比較的高齢の犬でみられ、高カルシウム血症による多飲多尿がみられることがあり、悪性度が高く初期段階で腰下リンパ節や腸骨リンパ節へ転移することがあります。予後因子としては腫瘍の大きさが10㎠(最大直径2箇所の積)以上、肺転移がみられるおよび高カルシウム血症がみられる場合は生存期間が短いとされています。

 今回の報告では、生存期間は腰下リンパ節の腫脹がみられる場合(ハザード比2.31)およびリンパ節摘出を行った場合(ハザード比2.31)で関連がみられたそうです。無病期間は腰下リンパ節の腫脹がみられた場合(ハザード比2.47)、リンパ節摘出を行った場合(ハザード比2.47)、白金製剤の化学療法を行った場合(ハザード比2.69)短くなったとのことでした。また病理組織学的マージンが不十分でも生存期間や無病期間に差異はなかったそうです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

April 15, 2015, Vol. 246, No. 8, Pages 877-884