健康な犬の透視画像下での椎骨心臓計測(VHS)法の心臓と呼吸周期によるの影響

 健康な犬の透視画像下での椎骨心臓計測(Vertebral Heart Size, VHS)法の心臓と呼吸周期によるの影響についての報告によると、犬のVHSを評価する場合レントゲン撮影時のポジションや呼吸および心臓周期の影響に注意する必要があり、最適な肺野の評価と一貫した吸気終末時のレントゲン撮影が呼吸周期に起因するVHSの変動を制限するのに役立つとのことでした。

 VHSは心拡大の評価法の一つで、胸部レントゲンのラテラル像にて心臓の長軸と短軸それぞれの長さが第四胸椎頭側端を起点として椎骨いくつ分に相当するかを小数点第一位まで測定し、その二つの数値の合計がVHSとなります。参考範囲は8.5~10.5とされていますが、犬種により異なる場合があります。

 今回の報告では、14頭の健康なビークルを4人の観察者によりレントゲン透視下で左右横臥位で吸気終末と呼気終末における心臓収縮末期と拡張末期時のVHSをそれぞれ測定して比較したそうです。それによると平均のVHSはどの呼吸および心臓周期時でも左横臥位に対し右横臥位の方が大きくなったそうです。そして呼吸と心臓周期による差異は最大で吸気時は0.97、呼気時は1.11あったそうです。また心拍数は心臓の収縮期および拡張期におけるVHSの差と相関していなかったそうです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

May 15, 2015, Vol. 246, No. 10, Pages 1091-1097