犬における糖尿病の治療のためのインスリンデテミル

 犬における糖尿病の治療のためのインスリンデテミルについての報告によると、インスリンデテミルの12時間ごとの皮下注射は犬の糖尿病に対し実行可能な治療法で、インスリンデテミルの血糖コントロールを維持するために必要な投与量は他の種類のインスリンで報告されている量よりも少なく、とくに小型犬で使用する場合注意が必要であるとのことでした。

 犬でみられる糖尿病はほとんどの場合膵臓でつくられるインスリンの合成・分泌機能を失っているため、インスリンの注射による治療が必要です。使用するインスリン製剤は国内では犬用のものは販売されていないため、ヒト用のインスリン製剤を用いて治療を行います。インスリンデテミルはヒトの持続型インスリンで、犬においては他のインスリン製剤よりも血糖降下作用が強いとされています。

 今回の報告では10頭の自然発症の糖尿病の犬についてインスリンデテミルを12時間おきに皮下注射して6か月間治療し、臨床徴候、血中グルコース濃度曲線および血清フルクトサミン濃度により評価したそうです。インスリンデテミルの投与は6か月で血糖値と血清フルクトサミンの有意な減少をもたらし、最終的なインスリンの投与量の中央値は0.12 U/kg(0.05 U/kg~0.34 U/kgの範囲、12時間おき皮下注射)だったそうです。低血糖は血中グルコース濃度曲線の22%においてみられ、4頭の犬で臨床徴候としての低血糖が6回みられたそうです。臨床徴候の主観的改善は6か月の間すべての犬でみられ、臨床徴候および血中グルコース濃度曲線に基づき最終的なインスリンデテミルの有効性は5頭の犬で良い、3頭の犬で中程度、2頭の犬で乏しいとの評価でした。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

July 1, 2015, Vol. 247, No. 1, Pages 73-78