犬におけるインプラント関連腫瘍

 犬におけるインプラント関連腫瘍についての報告によると、今回の研究結果で自然発生の腫瘍とインプラント関連の腫瘍の解剖学的相違が強調されたとのことでした。

 骨肉腫は原発性骨腫瘍の中で最もよくみられる悪性腫瘍で、統計的には四肢、特に後肢より前肢(橈骨遠位と上腕骨近位)に多く発生します。原因のひとつとして骨肉腫は骨折の治癒部位や金属インプラントのある部位に関連して発生することがあり、慢性刺激が腫瘍の発生原因であることが示唆されています。しかしそのリスクは低く、骨折の治療に金属インプラントの使用が推奨されないというわけではありません。

 今回の報告ではインプラント関連腫瘍の16頭の犬とインプラントを伴わない骨肉腫のある32頭の犬について研究したそうですが、インプラントの設置から腫瘍の診断までの期間の中央値は5.5年(9か月~10年の範囲)で、後躯に最もよくみられ、脛骨(8/16例)、大腿骨(5/16例)で1例は大腿骨と骨盤にみられたそうです。またインプラント関連腫瘍は骨肉腫であることが多く16例中13例にみられ、とくに骨幹部に最もよくみられ、自然発生の犬の場合よりも長骨の骨幹部に発生することが有意に高かったそうです。骨肉腫の症例のうち7例について組織型が明らかになっており非増殖性骨芽細胞型(3例)、軟骨芽細胞型(2例)、増殖性骨芽細胞型(1例)、線維芽細胞型(1例)だったそうです。骨肉腫でない3例は組織学的にそれぞれ組織球性肉腫、繊維肉腫、および紡錘形細胞肉腫と診断されたそうです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

October 1, 2015, Vol. 247, No. 7, Pages 778-785