原発性リンパ節血管肉腫の犬の4例

 原発性リンパ節血管肉腫の犬の4例についての報告によると、犬の原発性リンパ節血管肉腫はまれで、著者らの知見によれば頸部リンパ節の遅発性の単独または複数の腫瘤として発症する疾患は過去にはないものであるとのこでした。また4例中3例は外科的切除と化学療法で長期生存がみられ、今回の報告での有効性は不明ではあるが、他の部位にできる血管肉腫は侵襲性の生物学的挙動がみられることを考えると、補助的な化学療法は考慮するべきであるとのことでした。

 血管肉腫は血管内皮細胞に由来する悪性腫瘍で、脾臓、皮膚、右心房で発生が多くみられます。また転移性の高い腫瘍ですが、血管は全身に存在するので原発性の血管肉腫はすべての臓器に発生する可能性があるといえます。一般的に腫瘍部分は破裂することがあり、急性出血、虚血または播種性血管内凝固(DIC)が起こることがあります。

 今回の報告では頸部の遅発性の腫瘤がみられた4頭の犬について評価したそうです。すべての犬で評価時点で臨床徴候はなく、CTまたはMRI検査にて内臓転移や他の原発性腫瘍はみられなかったそうです。それぞれの犬で腫瘍の切除手術が行われ、組織学検査で完全切除されたグレード1または2のリンパ節血管肉腫と診断され、すべての犬で化学療法が行われたそうです。生存期間は1例は259日で、他の3例はまだ生存しており手術後それぞれ615日、399日、365日だそうです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

November 1, 2016, Vol. 249, No. 9, Pages 1053-1060