犬における脾臓脂肪肉腫の13例

 犬における脾臓脂肪肉腫の13例についての報告によると、脾臓腫瘤のある犬で脾臓脂肪肉腫を鑑別診断として考えるのはまれで、生存期間は手術前の臨床ステージと組織学的グレードに影響されたとのことでした。

 脂肪肉腫は軟部組織肉腫のうちの一つで脂肪細胞から発生する悪性腫瘍です。皮膚が最も一般的な発生部位で、多くは単発性で硬く極めて浸潤性が強く境界不明瞭であることが多いといわれています。脂肪肉腫自体発生がまれな腫瘍ですが、10歳以上の犬に多く、肺や肝臓に転移することもあり、四肢と内臓にみられる場合は予後不良であるという意見もあります。

 今回は13例の脾臓脂肪肉腫の症例について調査したそうですが、生存期間の中央値は623日(1~1283日の範囲)で、脾臓脂肪肉腫によって死亡した5例については42~369日の範囲だったそうです。手術時に転移がみられるのは負の予後因子で、転移がみられる犬の生存期間の中央値が45日だったのに対し、転移がみられない犬は767日だったそうです。また組織学的グレード1の脾臓脂肪肉腫はグレード2および3の生存期間の中央値(それぞれ206日、74日)より著しく長い生存期間の中央値(1009日)がみられたそうです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

December 15, 2015, Vol. 247, No. 12, Pages 1404-1407