犬における黒クルミの木材、実および殻の摂取に関連する臨床徴候

 犬における黒クルミの木材、実および殻の摂取に関連する臨床徴候についての報告によると、黒クルミの木材の摂取は神経的または筋骨格的徴候が最も頻繁に報告され、実や殻の摂取は嘔吐が一般的な徴候で、著者の知る限りでは今回が黒クルミ成分の暴露による2つの異なる臨床症候群を述べた最初の報告であるとのことでした。

 黒クルミの木は家具などの木材に使用され、実は人用に食用やサプリメントとして利用されています。しかし一般的にナッツ類は犬には与えない方がよく、マカダミアナッツは虚弱、沈鬱、嘔吐、震えおよび高熱を引き起こす可能性があり、徴候は通常摂取後12時間以内にあらわれ12~48時間続くことがあります。またアーモンド、ピーカン、クルミなどは油脂を大量に含んでおり、脂肪は嘔吐や下痢を引き起こし潜在的に膵炎の原因になる可能性があります。

 今回は木材への暴露がみられた28件と、実や殻への暴露がみられた65件があったそうですが、嘔吐は木材を摂取した46%、実を摂取した48%の犬にみられたそうです。しかし神経的または筋骨格的徴候は木材を摂取した93%の犬にみられ、実または殻を摂取した場合の23%よりも有意に多く、木材の摂取後の神経学的徴候を発症する相対リスクは実または殻の摂取後の場合の約4倍だったそうです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

January 15, 2016, Vol. 248, No. 2, Pages 195-200