犬の原発性脾臓捻転の102例

 犬の原発性脾臓捻転の102例についての報告によると、脾臓捻転のために脾臓摘出術を受けた犬の予後は良好であることが示唆され、既存の敗血症性腹膜炎、術中出血、術後の呼吸困難などが死亡の危険因子として確認されたとのことでした。

 脾臓捻転は、脾臓うっ血の原因となります。これは通常、大型の深い胸の犬、特にジャーマンシェパードとグレートデンで多くみられます。1つの研究では症例の79%をオスが占めていたそうです。急性捻転はショックと腹部不快感を伴う深刻な全身徴候を引き起こしますが、慢性捻転は嘔吐、食欲不振、嗜眠、黄疸などの曖昧な兆候しかみられないことがあります。これらの患者では支持療法を直ちに実施し、適切に治療すれば予後は良好です。

 今回の報告では91.2%の犬が退院後も生存し、症例の23.5%がジャーマンシェパード、14.7%がグレートデン、11.8%がイングリッシュブルドッグで、全体の50%を占めたそうです。死亡に関連した危険因子は、初期検査時の敗血症性腹膜炎(オッズ比32.4)、術中出血(オッズ比22.6)、術後の呼吸困難の進行(オッズ比35.7)だったそうです。またいずれの症例においても脾臓腫瘍の病理組織学的所見はみられなかったそうです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

March 15, 2016, Vol. 248, No. 6, Pages 661-668