シーズーの肝皮症候群の31例

 シーズーの肝皮症候群の31例についての報告によると、肝皮症候群はシーズーにおいて遺伝的要因を有する可能性があることが示唆されたが、罹患した家族がいなくても発症することがあり、臨床的、臨床病理学的、超音波検査および組織学的異常は他の犬で報告されている肝皮症候群と同様であったとのことでした。

 肝皮症候群は表在性壊死性皮膚炎で、あまり多くみられる疾患ではありませんが代謝疾患から二次的におこる非常に特徴的な肝障害がみられます。一般的に高齢の小型犬にみられますが、ゴールデンレトリバーやボーダーコリーを含む様々な犬種で報告されています。皮膚に病変がみられ典型的には角化亢進、紅斑、および肉球、鼻、目周囲、肛門周囲、生殖器周囲の痂皮で、病変はしばしば亀裂を生じ二次感染を起こし痛みが生じます。25~40%の症例で糖尿病の徴候がみられることがあり、またフェノバルビタール治療に伴い発症することもあります。表在性壊死性皮膚炎はほとんどの犬で予後不良です。

 今回の報告では、オスは16例、メスは15例で、診断時の年齢の中央値は8歳(5~14歳の範囲)だったそうです。一般的な臨床徴候は嗜眠、食欲不振、体重減少および跛行で、25例の犬は肝皮症候群と一致する皮膚病変がみられましたが、残りの6例は最初は肝臓の異常のみがみられ、そのうちの3例はその後皮膚病変があらわれたそうです。臨床病理学的異常としては小赤血球症(63%の犬)、高血清ALP(100%の犬)がみられ、肝超音波所見は無数の低エコーの結節を伴う実質と高エコーまたは不均一なエコーレベルの外観がみられ、組織学的には最小限の線維化から非線維性、非炎症性、増殖性結節に関連した空砲変性(グリコーゲンおよび脂肪)がみられたそうです。家系分析では18例中12例の犬で共通祖先が確認されたそうです。また生存期間の中央値は3か月(1~36か月の範囲)だったそうです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

April 1, 2016, Vol. 248, No. 7, Pages 802-813