偶然発見された脾臓結節または腫瘤に対し脾臓摘出術を行った犬の悪性腫瘍の発生率と予後

 偶然発見された脾臓結節または腫瘤に対し脾臓摘出術を行った犬の悪性腫瘍の発生率と予後についての報告によると、腹腔内出血がなく破裂していない脾臓腫瘤または結節は一般的に良性で、迅速な処置を行った偶然発見された良性または悪性の脾臓病変は以前に報告されたものより平均余命が良いことが示唆されたとのことでした。

 脾臓の腫瘤は良性または悪性腫瘍および非腫瘍性疾患のいずれの可能性もあります。病理学的には犬では脾臓腫瘤のおよそ2/3が腫瘍と診断され、そのうち1/2から2/3が血管肉腫と診断されていますが、腫瘍性と非腫瘍性疾患の有病率は研究によって異なります。臨床徴候は脾臓破裂を起こして出血している場合を除いて非常にあいまいであることが多いです。最も信頼できる臨床徴候は触知可能な脾腫ですが、犬種によっては触診しづらかったり、またすべての脾腫が異常であるとは限りません。

 今回の報告では105例中74例(70.5%)が良性で、31例(29.5%)は悪性腫瘍で最も一般的だったのは血管肉腫(31例中18例(58%))だったそうです。術前にPCVの上昇がみられた場合は死亡リスクが減少し、病理組織学的に悪性の場合は死亡リスクの上昇と有意に関連があったそうです。平均余命は良性と悪性でそれぞれ436日と110日だったそうです。血管肉腫の場合の平均余命は132日で、18例中7例の犬だけが化学療法を行ったそうです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

June 1, 2016, Vol. 248, No. 11, Pages 1267-1273