末梢性結節性リンパ腫の犬における多剤併用化学療法プロトコールからのプレドニゾンの省略の効果についてのランダム化対照試験

 末梢性結節性リンパ腫の犬における多剤併用化学療法プロトコールからのプレドニゾンの省略の効果についてのランダム化対照試験の報告によると、L-CHOPプロトコールからプレドニゾンの除外をすることでリンパ腫の犬における無増悪生存期間の改善はみられなかったが、今回の試験では群間の無増悪生存期間の臨床的な有意差を検出するには不十分だったとのことでした。

 リンパ腫は犬で最も一般的な癌の一つで、年間発症率はおおよそ10万頭中24頭との報告もあります。大部分の犬のリンパ腫はリンパ節腫大が特徴的な多中心型で、肝臓、脾臓および骨髄も一般的に罹患しています。多剤併用の化学療法が現在の治療のスタンダードで、寛解率は70~90%、生存期間の中央値は9~14か月とされています。しかし化学療法で治療した犬の個々の予後は様々で、他の腫瘍と同様に腫瘍の免疫表現型、病理組織学的グレード、ステージおよびサブステージが関与しているとされています。またプレドニゾンによる先行治療は化学療法を行うにあたって予後がよくないとされていますが、そのことについて詳しく検討した報告はあまりありません。

 今回の報告では治療はL-アスパラギナーゼ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(L-CHOP)の組み合わせと、プレドニゾンを省略した同一のプロトコール(L-CHO)で行ったそうです。そして今回の研究に参加した40頭の犬をL-CHOP群(18頭)とL-CHO群(22頭)にランダムに割り当て結果を分析したところ、無増悪生存期間の中央値はL-CHO群が142.5日、L-CHOP群が292日(ハザード比1.79;信頼区間0.85~3.75)だったそうです。また重篤な有害事象はL-CHOの治療を受けた犬の間でより一般的だったそうですが、その差は有意ではなかったそうです。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

November 1, 2016, Vol. 249, No. 9, Pages 1067-1078