シクロホスファミドとフロセミドの経口持続投与で治療された担癌犬における無菌性出血性膀胱炎の発生率

 シクロホスファミドとフロセミドの経口持続投与で治療された担癌犬における無菌性出血性膀胱炎の発生率につての報告によると、化学療法におけるシクロホスファミドの経口持続投与と併用したフロセミドの経口投与は無菌性出血性膀胱炎の発生率が低いことが示され、フロセミドがシクロホスファミド誘発性無菌性出血性膀胱炎に対し保護効果があることが示唆されたとのことでした。

 無菌性出血性膀胱炎はシクロフォスファミド投与のよく知られた合併症で、シクロフォスファミドの不活性代謝物のアクロレインによる尿路上皮刺激によって引き起こされます。発生のリスクはシクロフォスファミド投与のプロトコールや累積投与量に依存し、フロセミドまたはメスナの同時投与はこのリスクを有意に減少させるとされています。もし無菌性出血性膀胱炎がみられた場合はシクロフォスファミドの投与を無期限に中止します。中止後一般的には徴候は緩和されていきますが、重症例では出血がみられなくなるまで数週間から数か月かかることがあります。

 今回の報告では2つの施設で2009年1月から2015年12月までの間にシクロフォスファミドの経口持続投与にフロセミドを最低28日以上併用して治療した犬の記録について調査し、シグナルメント、腫瘍の診断、シクロフォスファミドとフロセミドの用量および併用薬についての情報を抽出して調べたそうです。シクロフォスファミドの投与量は6.5~18.6mg/㎡ 1日1回から6.3~49.2mg/㎡ 1日おきで、投与期間の中央値は272日(28~1393日の範囲)、累積投与量の中央値は2898mg/㎡(224~14725mg/㎡の範囲)、フロセミドの投与量の中央値は1.4mg/kgだったそうです。そのうち55例中2例(3.6%)で無菌性出血性膀胱炎が確認または疑われたとのことでした。

 

参考文献

Journal of the American Veterinary Medical Association

December 15, 2016, Vol. 249, No. 12, Pages 1408-1414